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色収差とは?原因・種類・対策を初心者向けにわかりやすく解説

2026.02.17 宇野真史

色収差とは?原因・種類・対策を初心者向けにわかりやすく解説

撮影した写真を拡大したとき、被写体の輪郭に不自然な紫や緑の色がにじんでいたことはないでしょうか。この現象が「色収差」です。カメラ初心者の方には馴染みが薄い言葉かもしれませんが、写真の画質を大きく左右する重要な光学現象のひとつです。

本記事では、色収差の意味・発生の仕組み・種類から、撮影時の予防策や編集ソフトでの補正方法まで、初心者の方でもわかるようにやさしく解説します。この記事を読めば、色収差への理解が深まり、より高品質な写真を撮影・仕上げるための知識が身につきます。

色収差とは何か(基本的な意味)

色収差の簡単な定義

色収差(しきしゅうさ)とは、レンズを通る光が色ごとに異なる位置で焦点を結ぶことで、画像に「色のズレ」や「にじみ」が生じる現象のことです。英語では「Chromatic Aberration(クロマティック・アベレーション)」と呼ばれます。被写体の輪郭が赤・青・緑・紫などの偽色に縁取られてしまうため、画質の低下として視認されます。

なぜ「色ズレ」が起こるのか(光の性質)

太陽光はさまざまな色(波長)の光が混ざり合った白色光です。プリズムに当てると虹色に分かれるように、光は波長によって屈折する角度が異なります。レンズも同様に色ごとに屈折の度合いが変わるため、全ての色が同じ位置に像を結べず、色がわずかにズレてしまいます。これが色収差の根本的な原因です。

色収差の基本的な意味を理解したところで、次はより詳しく発生の仕組みを見ていきましょう。

色収差が発生する仕組み

光の波長と屈折率の関係

光の色は波長の違いによって決まります。波長が短いほど屈折しやすく、長いほど屈折しにくい性質があります。たとえば青い光(波長:約450nm)は赤い光(波長:約700nm)より強く屈折します。レンズのガラス材料(硝材)はこの波長ごとの屈折率の違い、つまり「分散」を持っており、これが色収差を生む根本的な要因です。

レンズで色収差が起こる理由

カメラのレンズは光をセンサーの一点に集める役割を担っていますが、波長によって屈折率が異なるため、赤・緑・青それぞれの光が異なる位置に焦点を結んでしまいます。たとえば青い光は手前で焦点を結び、赤い光はより奥に焦点が来るため、センサー面上では色がズレた状態で記録されます。

人の目ではなくカメラで目立つ理由

人の目も光学的なレンズ(水晶体)を持ちますが、脳が補正を行うため色収差をほとんど感知しません。一方、カメラのセンサーはピクセル単位で光を忠実に記録するため、わずかな色のズレも検出されます。特に高画素のカメラや拡大表示した際には顕著に現れます。これがカメラ撮影で色収差が問題になりやすい理由です。

発生の仕組みが分かったところで、色収差にはどのような種類があるのか確認しましょう。

色収差の主な種類

軸上色収差(縦色収差)とは

軸上色収差(じくじょうしきしゅうさ)とは、光軸上において色ごとに焦点位置が前後にズレる収差です。「縦色収差」「LoCA(Longitudinal Chromatic Aberration)」とも呼ばれます。絞りを開放して撮影したとき、ボケた部分に緑や紫のにじみが生じます。絞り込む(F値を大きくする)ことで軽減できるのが特徴です。

倍率色収差(横色収差)とは

倍率色収差(ばいりつしきしゅうさ)とは、色によって像の大きさ(倍率)が異なることで生じる収差です。「横色収差」「TCA(Transverse Chromatic Aberration)」とも呼ばれます。画面の周辺部で被写体の縁に沿って赤や青の縁取りが現れます。絞りでは軽減できないため、レンズ設計や後処理による補正が必要です。

それぞれの見え方の違い

軸上色収差は画面全体に影響し、ボケ部分が色づいたように見えます。倍率色収差は画面中央では目立たず、四隅や周辺に向かうほど目立ちやすい特徴があります。見え方の違いを把握しておくと、補正方法を選ぶ際に役立ちます。

2種類の色収差を理解したところで、次はどのような撮影シーンで特に目立つのかを見ていきましょう。

色収差が出やすいシーン・条件

逆光・高コントラストな場面

色収差は明暗の差が大きいシーンで特に目立ちます。逆光で撮影した木の枝と空の境界線や、白い建物の輪郭など、コントラストの高い部分に紫や緑のにじみが現れやすくなります。風景写真・建築写真・星景写真など、細かなエッジが多い被写体では注意が必要です。

望遠レンズ・広角レンズでの違い

望遠レンズは焦点距離が長い分、色収差が蓄積しやすく、倍率色収差が目立ちやすい傾向があります。一方、広角レンズは画面の四隅まで光が達するため、周辺部の倍率色収差が生じやすくなります。ズームレンズは多くのレンズ群で構成されるため、単焦点より色収差が出やすい場合があります。

安価なレンズで起こりやすい理由

高価なレンズには、色収差を抑えるためのEDガラス(低分散ガラス)や蛍石レンズが使われています。これらの素材は通常のガラスより光の分散が小さく、色収差を大幅に抑えることができます。一方、安価なレンズは通常の光学ガラスが使われることが多いため、色収差が生じやすくなります。

色収差が出やすいシーンを理解した上で、写真・映像への具体的な影響を確認しておきましょう。

色収差が写真・映像に与える影響

画質への影響

色収差が強く出ると、被写体の輪郭がぼやけたように見えたり、存在しない色が輪郭に乗ってしまい、全体的な解像感が低下します。特に印刷物やA3以上の大判出力を行う場合は、画面上では気にならなかった色収差が目立ってしまうことがあるため注意が必要です。

プロ・アマで気になる度合いの違い

SNSへの投稿など縮小表示が前提の用途では、色収差はほとんど気になりません。しかし、商業印刷・写真展・動画コンテンツでは細部の品質が問われるため、プロのカメラマンほど色収差の扱いに敏感です。趣味でも写真の品質を上げたい方は、補正の習慣をつけておくことをおすすめします。

影響を把握したところで、撮影の段階から色収差を抑える方法を見ていきましょう。

色収差を抑える・防ぐ方法(撮影時)

絞りを調整する

絞りを絞る(F値を大きくする)ことで、レンズの周辺部を通る光線をカットし、軸上色収差を軽減する効果があります。開放F値(最も絞りを開いた状態)で色にじみが目立つ場合は、F8〜F11程度まで絞ると改善されることが多いです。

レンズ選びのポイント

色収差を根本から抑えるには、EDガラス・超低分散(SLD)ガラス・蛍石レンズを採用した高品質なレンズを選ぶことが効果的です。各メーカーでは次のような素材名を使っています。

  • Canon:EDレンズ(Extral-low Dispersion)
  • Nikon:EDガラス・SICガラス
  • Sony:Gレンズシリーズ・Zeissl搭載モデル

撮影条件を工夫する方法

逆光・高コントラストなシーンでは、被写体の角度を変えたり、フードを使ってフレアを防ぐことで色収差の発生を抑えられます。また、RAW形式で撮影しておくと後処理での補正自由度が上がります。JPEG保存では既に補正や圧縮が掛かっているため、RAWほど細かい調整ができません。

撮影時の工夫で抑えきれなかった色収差は、編集ソフトで後から補正することも可能です。具体的な手順を見ていきましょう。

色収差を補正する方法(編集・現像)

Lightroomでの色収差補正

Lightroom(またはLightroom Classic)では、「レンズ補正」パネルを開き「色収差を除去」にチェックを入れるだけで倍率色収差を自動補正できます。さらに「フリンジ軽減」のスポイトを使えば、紫や緑のフリンジを手動で指定して除去できます。RAW撮影データで最も効果を発揮します。

Photoshopでの補正方法

PhotoshopではCamera Rawフィルターを使用することで、Lightroomと同様の色収差補正が可能です。「レンズ補正」タブの「プロファイル」から「色収差を除去」にチェックを入れるか、「カラー」タブで紫・緑のフリンジを手動スライダーで調整します。動画の場合はDaVinci ResolveのFusionタブでチャンネル別に補正できます。

自動補正と手動補正の違い

自動補正はチェックひとつで処理が完了するため手軽ですが、フリンジと被写体の色が似通っている場合は被写体の色まで変化してしまうことがあります。手動補正では補正する色の範囲を細かく指定できるため、より精度の高い仕上がりが期待できます。まず自動、不十分な場合に手動という順で試すのが基本の流れです。

補正方法を押さえたところで、色収差と混同しやすい用語についても整理しておきましょう。

色収差とよく混同される用語

パープルフリンジとの違い

パープルフリンジとは、撮像素子(センサー)に強い光が入りすぎたとき、隣接するフォトダイオードに光が漏れて紫色のにじみが生じる現象です。これはカメラのセンサー特性によるもので、レンズの光学特性が原因の色収差とは別物です。ただし見た目が似ているため、同じ補正方法で対処できることも多いです。

色にじみ・ハレーションとの違い

色にじみは色収差を含む幅広い色の滲み現象を指す日常的な言葉です。ハレーションは強い光源が直接レンズに入ることで発生する白や虹色の光の広がりを指し、フレアとも呼ばれます。色収差による色のズレとは発生メカニズムが異なります。これらを混同しないよう、症状と場所を見て判断することが大切です。

関連用語の違いを整理したところで、最後に「色収差は完全になくせるのか」という疑問に答えていきます。

色収差は完全になくせるのか?

完全補正が難しい理由

色収差はレンズが光を屈折させる限り、原理的に完全にゼロにはできません。凸レンズと凹レンズを組み合わせた「アクロマートレンズ」では2波長での補正が可能ですが、それ以外の波長には残存収差が残ります。光学的にゼロにすることは現実的に不可能で、いかに「目立たなくするか」が設計の課題です。

最近のレンズ技術の進化

近年の高性能レンズには、3波長以上で色収差を補正する「アポクロマートレンズ」や、異常部分分散ガラスを用いた設計が採用されています。さらにデジタル補正技術の進歩により、カメラ内やソフトウェアで残存収差をほぼ視認できないレベルまで補正できるようになりました。スマートフォンでも自動補正が一般化しつつあります。

まとめ|色収差を正しく理解して写真の質を高めよう

色収差とは、光の波長ごとに屈折率が異なることで起こる色のズレ・にじみ現象です。「軸上色収差」と「倍率色収差」の2種類があり、それぞれ見え方や補正方法が異なります。

本記事のポイントをまとめると次のとおりです。

  • 色収差はレンズの光学特性から生じる避けられない現象
  • 逆光・高コントラスト・安価なレンズで特に目立ちやすい
  • 絞りの調整・高品質なレンズ選びで撮影時に軽減できる
  • LightroomやPhotoshopで後処理による補正も可能
  • 完全にゼロにすることは難しいが、現代の技術で十分に抑制できる

色収差を正しく知ることで、撮影の段階から意識的に対策でき、後処理の精度も格段に上がります。RAW撮影を習慣にして、現像時には必ずレンズ補正を確認してみてください。

関連する記事として「カメラレンズの選び方ガイド」も参考にしてみてください。写真の仕上がりに悩んでいる方は、ぜひ他の記事もチェックしてみてください。

宇野真史

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