
カメラを趣味にしている方や写真撮影を始めたばかりの方なら、「レンズフード」という言葉を耳にしたことがあるかもしれませんね。レンズの先端に取り付ける、あの筒状や花びら状のアクセサリーのことです。単なる飾りと思っている方もいるかもしれませんが、実はレンズフードは写真の仕上がりを大きく左右する、とても重要なアイテムなのです。この記事では、レンズフードの基本的なことから選び方まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
レンズフードとは何か?
レンズフードの基本的な役割
レンズフードとは、カメラレンズの前面に取り付ける筒状や花びら状のアクセサリーです。主な役割は、レンズに直接入ってくる不要な光(=有害光線)を遮ること。太陽光や照明など、強い光源からの余計な光がレンズに入るのを防ぎ、クリアな写真を撮るための重要なアイテムとして機能します。一見シンプルなパーツですが、実は写真撮影において欠かせない装備の一つなのです。
なぜ必要なのか?光を遮る効果とその重要性
レンズフードがなぜ必要かというと、一番の理由は不要な光をカットして写真の質を高めるためです。太陽や強い照明などの光がレンズに斜めから差し込むと、「フレア」と呼ばれる光のにじみや、「ゴースト」と呼ばれる光の玉のようなものが写り込むことがあります。これらは写真全体のコントラストを低下させたり、ぼんやりとした印象を与えたりする原因になります。レンズフードはこれらの現象を防ぎ、よりクリアで、色彩豊かな写真を撮る手助けをしてくれるのです。
レンズフードのメリットとデメリット
フレア・ゴーストの軽減
レンズフードを使う最大のメリットは、先ほど説明した「フレア」や「ゴースト」といった、写真の質を低下させる現象を効果的に抑えられることです。特に、太陽に向かって撮影する逆光時や、横からの光が強い状況(側光)では、その効果をはっきりと感じられるでしょう。フレアやゴーストが抑えられると、写真全体のコントラストが向上し、よりシャープでメリハリのある描写になります。プロのカメラマンが屋外撮影でレンズフードをよく使っているのは、この効果を期待しているからです。
レンズの保護としての役割
レンズフードには、レンズを物理的な衝撃から守るという、もう一つの大切な役割があります。万が一、カメラをどこかにぶつけてしまっても、先にレンズフードが当たることで、デリケートで高価なレンズ本体への直接的なダメージを防いだり、衝撃を和らげたりしてくれます。さらに、撮影中に不意に雨粒や砂埃がレンズに付着するのを防ぐ効果もあり、屋外での撮影では特に役立ちます。大切なレンズを長く、良い状態で使い続けるための「お守り」のような存在とも言えるでしょう。
装着によるデメリット(かさばる、ケラレなど)
一方で、レンズフードにはいくつかのデメリットもあります。まず挙げられるのが、持ち運びの際にかさばることです。特に大きなフードは、カメラバッグの中で意外と場所を取ってしまいます。また、レンズの種類や組み合わせによっては、「ケラレ」という現象が起こることがあります。これは、フードの一部が写真に写り込んでしまい、写真の四隅が暗くなってしまう現象です。特に広角レンズで、そのレンズ専用ではないフードを使った場合に発生しやすくなります。さらに、カメラに内蔵されたフラッシュ(ストロボ)を使用する際に、フードの影が写真に写り込んでしまうケースもあるため注意が必要です。
ここまでレンズフードの基本的な役割とメリット・デメリットについて見てきましたが、次にレンズフードの種類について詳しく見ていきましょう。
レンズフードの種類と特徴
円形フード(ラウンド型)とは
円形フード(ラウンド型)は、その名の通り、円筒形をしたシンプルなデザインのフードです。主に望遠レンズ(焦点距離が長いレンズ)で使われることが多いタイプです。円形フードの特徴は、どの方向からの光も均等に遮ることができる点です。望遠レンズは写る範囲(画角)が狭いため、このシンプルな円形フードでも効果的に不要な光をカットできます。比較的コンパクトなものが多く、シンプルな構造のため扱いやすいという利点もあります。
花形フード(チューリップ型)とは
花びらのような特徴的な形をした花形フード(チューリップ型)は、主に標準レンズや広角レンズで使われます。この独特な形には理由があります。写る範囲が広い広角レンズなどは、円形フードだとフード自体が写真の四隅に写り込んでしまう(ケラレてしまう)可能性があるためです。花形フードは、レンズの画角に合わせて不要な部分をカットした形状になっており、ケラレを最小限に抑えながら、効果的に不要な光を遮断できるように設計されています。見た目も特徴的で、カメラらしい格好良さを演出できる点も人気の理由かもしれません。
ねじ込み式 vs バヨネット式
レンズフードの取り付け方法には、主に「ねじ込み式」と「バヨネット式」の2種類があります。
- ねじ込み式: レンズの先端にあるフィルター用のネジ溝に、フードをくるくると回して取り付けます。フィルターと同じように、レンズのフィルター径(例:φ67mmなど、レンズ前面に書かれていることが多い)が合えば、異なるレンズでも使える場合があるのがメリットです。比較的安価な製品が多い傾向にあります。
- バヨネット式: 特定のレンズ専用に設計されており、レンズの先端にある取り付け指標に合わせてはめ込み、少し回転させるだけで「カチッ」と確実に固定できます。素早く確実に取り付け・取り外しができ、常に正しい位置で固定されるのがメリットです。多くのカメラメーカー純正フードがこの方式を採用していますが、基本的にはそのレンズ専用のフードしか使えません。
レンズフードの選び方とチェックポイント
自分のレンズに合うサイズの調べ方
レンズフードを選ぶ上で最も大切なのは、お使いのレンズに適合しているかどうかを確認することです。適合しないフードを使うと、ケラレの原因になったり、効果が十分に得られなかったり、最悪の場合取り付けられなかったりします。
自分のレンズに合うフードを探すには、まずレンズの型番を確認するのが確実です。レンズの型番は、レンズ本体やレンズキャップ、製品箱、取扱説明書などに記載されています。その型番をもとに、カメラメーカーの公式サイトやレンズの取扱説明書で、対応する純正フードの型番を調べましょう。特にバヨネット式のフードはレンズごとに専用品となっていることがほとんどです。
ねじ込み式のフードを選ぶ場合は、レンズの「フィルター径」(例:φ67mm)を確認し、同じ径のフードを選びますが、画角によってはケラレが発生する可能性もあるため注意が必要です。不明な場合は、カメラメーカーのサポートに問い合わせたり、カメラ専門店のスタッフに相談したりするのが良いでしょう。
純正 vs 社外品の違いと選び方
レンズフードには、カメラメーカー自身が販売している「純正品」と、レンズフードなどを専門に製造しているメーカーの「社外品」(サードパーティ製)があります。
- 純正品: そのレンズに合わせて最適に設計されているため、性能(遮光効果やケラレにくさ)や取り付けの確実性、品質は最も信頼できます。ただし、一般的に価格は社外品に比べて高めになる傾向があります。
- 社外品: 純正品よりも比較的安価なものが多く、中には純正品にはないデザインや色のバリエーションが見つかることもあります。ただし、製品によっては性能や精度、耐久性が純正品に劣る可能性も考慮する必要があります。
どちらを選ぶかは、予算や使い方、何を重視するかによって決めるのが良いでしょう。特に性能を重視する場合や、高価なレンズを使用している場合は、レンズ本来の性能を最大限に引き出し、安心して使うためにも、純正品を選ぶのがおすすめです。
屋外撮影・屋内撮影での使い分け
レンズフードは常に付けっぱなしが良いとは限りません。撮影シーンによっては、効果がないばかりか、かえって邪魔になることもあります。状況に応じて使い分けることも大切です。
装着が推奨されるシーン:
- 屋外での撮影、特に日差しの強い晴天時
- 太陽や強い光源に向かって撮る逆光時や、横からの光が強い状況(側光時)
- レンズを保護したい場合(ぶつけやすい場所での撮影、雨や砂埃が気になる環境など)
外した方が良い場合があるシーン:
- カメラ内蔵のフラッシュ(ストロボ)を使って撮影する場合(フードの影が写り込む可能性があるため)
- 被写体に非常に近づいて撮影するマクロ撮影など(フード自体が被写体に影を落としてしまう可能性があるため)
- カメラバッグに収納する際にかさばる場合(逆向きに取り付けられるフードもあります)
このように、状況に応じて付け外しを検討しましょう。
まとめ
レンズフードは、単なるカメラのアクセサリーではなく、写真の質を高め、大切なレンズを守るための重要なアイテムです。不要な光をカットすることでフレアやゴーストを防ぎ、よりクリアでコントラストの高い写真を撮る手助けをしてくれます。また、万が一の衝撃や汚れからレンズを保護する役割も担っています。
レンズフードを選ぶ際は、お使いのレンズに適合した製品を選ぶことが何よりも大切です。そして、屋外や逆光時など効果を発揮する場面では積極的に活用し、内蔵フラッシュ使用時などデメリットが生じる可能性がある場面では、必要に応じて外すなど、撮影シーンや環境に応じて適切に使い分けることで、あなたの写真表現の幅はさらに広がるはずです。

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